Java

【徹底解説】Javaとは|選ばれる理由と弱点

2025年3月7日

近年、「Java」というプログラミング言語の名前を耳にする機会が増えています。

Javaは企業のシステム開発からスマホアプリ開発まで幅広く使われており、エンジニア志望の初心者にも人気の言語です。

では、Javaとはどんな言語なのでしょうか?

本記事では、プログラミング初心者の方向けにJavaの基礎知識を網羅的にわかりやすく解説します。

Javaの特徴やメリット・デメリット、さらには実際にJavaで何が作れるのかといった活用事例まで、これ1記事でまるっと理解できる入門ガイドをお届けします。

この記事を読むとできること: Javaという言語の成り立ちや特徴が理解でき、開発の準備や簡単なプログラムの書き方がわかります。さらに、Javaを学ぶメリットや学習のコツも掴めるので、「Javaを始めてみたい!」という方はぜひ最後までお付き合いください。

それではさっそく、Javaの世界を覗いてみましょう!


JavaのマスコットキャラクターのDuke

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Duke_(Java_mascot)_waving.svg

Javaとは何か?

まずは「Javaとは?」という根本的な疑問に答えます。

Java(ジャバ)とは、1990年代に誕生したオブジェクト指向のプログラミング言語です。

現在に至るまで改良と普及が進み、世界中で広く使われているメジャー言語の一つとなっています。

Javaの概要と誕生の歴史

Javaは1995年にアメリカのサン・マイクロシステムズ社(Sun Microsystems)からリリースされました。

当初は家庭用電化製品向けの組み込みソフト開発を目指して作られましたが、その汎用性の高さからあらゆる用途のソフトウェア開発に利用される言語へと成長しました。

Sun社はJavaの開発にあたり、“Write Once, Run Anywhere”(一度書けばどこでも動く)というスローガンを掲げました。

この思想どおり、Javaで書かれたプログラムは特定のOS(例えばWindowsやLinuxなど)に依存せずどの環境でも実行できることが大きな特徴です。

この点については後ほど詳しく説明します。

2000年代に入り、Sun Microsystems社はOracle(オラクル)社に買収されました。

それに伴いJavaの開発と管理はOracle社が引き継ぎ、現在も継続的にバージョンアップが行われています。

Java自体は無償で利用できますが、2019年以降のOracle JDK(Java開発キット)の一部ライセンス変更により商用利用には有償版が必要になるケースも出てきました。

ただし個人開発や学習用途であれば無償で利用できるOpenJDKというオープンソース版も提供されており、初心者が学ぶ分には費用を気にせず始められます。

リリースから20年以上経った今でもJavaの人気は根強く、企業の大規模システムからスマートフォンアプリまで幅広い分野で使われ続けています。

例えば、現在世界中で使われているAndroidスマートフォン向けの公式開発言語として長らくJavaが採用されてきました(※近年はKotlinも公式言語ですが、Javaで書かれた資産が非常に多いです)。

こうした実績もあり、Javaはプログラミング言語人気ランキングで常に上位に入る存在です。

初心者にとっては覚えることが多い難易度高めの言語ですが、それだけ幅広く深い力を持った言語だと言えるでしょう。

他の言語との違い:JavaとJavaScriptは別物?

名前が似ているためにJavaと混同されやすい言語に「JavaScript」があります。

JavaとJavaScript、非常に紛らわしいですが実は全くの別物です。

Java

主にサーバーサイドやアプリ開発に使われる汎用的なプログラミング言語。

コンパイル(後述)を経て実行され、動作にはJVMという仮想マシン環境が必要。

大規模開発向きで高い性能と安定性を持つ。

JavaScript

主にWebブラウザ上で動くスクリプト言語

HTMLページに動的な動きを付ける目的で使われ、コンパイル不要(インタプリタ型)で即実行可能。

Webフロントエンド開発向きで、ブラウザさえあれば動作する手軽さが特徴。


このように、名前は似ていますが用途も仕組みも異なる言語です。

唯一の共通点はC言語由来の似たような文法記法を持つ程度と言って良いでしょう。

初心者の方は「Java=JavaScriptの略称」などと誤解しないよう注意してください。

混同しやすい例として、Web開発ではJavaScriptはユーザーのブラウザ側(フロントエンド)で動作し、Javaはサーバー側(バックエンド)で動作する、という風に役割がまったく異なる場合があります。

両者は名前以外別のものだと割り切って覚えましょう。

Javaの特徴(長所)

では、Javaという言語にはどのような特徴があるのでしょうか。

Javaを語る上で欠かせない主な長所を順番に説明します。

キーワードは「どこでも動く」「書きやすく大規模向き」「安全で高速」の3点です。

プラットフォームに依存しない – “Write Once, Run Anywhere”

先ほど触れた「一度書けばどこでも動く」というキャッチフレーズが示す通り、Java最大の特徴はプラットフォーム非依存性にあります。

通常、プログラミング言語で書かれたプログラムは各OSの違い(WindowsとMacの違いなど)を意識して書いたり、別々にコンパイル(機械語への翻訳)する必要があることもあります。

しかしJavaでは、そうしたOSごとの違いを吸収する仕組み**が用意されています。

その仕組みがJVM(Java Virtual Machine:Java仮想マシン)と呼ばれるものです。

Javaで書かれたソースコードは、まずJavaコンパイラによって中間バイトコードと呼ばれる形式に変換されます(コンパイル)。

このバイトコードはJVM上で実行されますが、各OSごとに対応したJVMソフトウェアが提供されているため、同じJavaバイトコードをどのOSでも実行可能なのです。

要するに、Java用の仮想マシンが現実のOSの差異を埋めてくれるため、開発者は一度Javaプログラムを書けばWindowsでもLinuxでも(対応するJVMさえあれば)動かせるわけです。

この特性のおかげで、Javaは企業の大規模システムなど長期間運用されるソフトウェアでも将来的なプラットフォーム変更に柔軟に対応できます。

実際に銀行の基幹システム等「将来サーバーOSを変更する可能性がある」ようなケースでもJavaが好まれる一因です。

どんなコンピュータでも動く」というJavaのプラットフォーム独立性は、他の言語にはない大きな強みと言えます。

オブジェクト指向言語 – 大規模開発に強い設計思想

Javaは純粋なオブジェクト指向(Object-Oriented)言語として設計されています。

オブジェクト指向とは、プログラムの部品をすべて「オブジェクト(物、モノ)」として捉える考え方です。

現実世界の事象をモデル化したオブジェクト同士のやり取りでプログラムを構成することで、コードの再利用性が高まり、保守管理がしやすくなるというメリットがあります。

例えば、同じ動作をするプログラムでもオブジェクト指向でない言語だとコピーペーストでコードを重複させがちですが、Javaのようなオブジェクト指向言語ではクラスという設計図を一度作れば何度でもインスタンス化(実体化)して使い回せます。

さらに継承という仕組みで既存のクラスを拡張して新しい機能を持たせたり、ポリモーフィズム(多態性)によって同じインターフェースで異なる処理を実現したりと、柔軟で拡張性の高いコードを書くことができます。

このようなオブジェクト指向の特性により、Javaは大規模開発に非常に強い言語となっています。

多数の開発者が長期間にわたって保守・拡張を続けるようなプロジェクトでも、Javaであればコードの構造を整理しやすく、変更に強い設計を組みやすいのです。

結果として大企業の基幹業務システム大規模なWebサービスのバックエンドによくJavaが選ばれる傾向があります。

オブジェクト指向については後ほど「オブジェクト指向プログラミング入門」の章でもう少し詳しく説明します。

初心者には最初難しく感じる概念ですが、Javaを使う上では避けて通れない重要ポイントですので、ぜひ押さえておきましょう。

自動メモリ管理(ガベージコレクション) – メモリを安全に効率化

プログラミングでは、メモリ管理(使い終わったメモリ領域を解放する処理など)がバグの温床になることがあります。

低レベルな言語(C言語など)では開発者が手動でメモリ解放を行う必要があり、それを怠るとメモリリーク(使われないメモリが解放されず残り続ける問題)が発生します。

Javaではこの点、ガベージコレクション(GC)という仕組みにより不要になったメモリ領域を自動で解放してくれます。

開発者が意識せずとも、Java実行環境が定期的に「もう参照されていないオブジェクト(不要メモリ)をゴミ箱に捨てる」処理を行ってくれるのです。

この自動メモリ管理のおかげで、Javaプログラムはメモリを効率よく使い安全に動作します。

C言語やC++のようにポインタ操作でメモリを直接扱う必要がなく、初心者でもメモリ周りの深刻なバグを起こしにくいという安心感があります。

一方で、細かなメモリ最適化を自動に任せる分、リアルタイム性が要求される場面(例えば組み込み系の一部分野)ではGCによる一時停止が懸念となる場合もありますが、一般的な用途ではJavaのGCは十分高性能で問題ありません。

まとめると、Javaはメモリ管理が比較的簡単で安全という特徴があります。

プログラミング初心者にとってメモリリークの心配が少ないのは嬉しいポイントでしょう。

高いセキュリティ – 安全な実行環境を提供

Javaはセキュリティ面でも優れた設計を持っています。

特に有名なのがサンドボックスモデルと呼ばれる仕組みです。

JavaアプリケーションはJVM上で動作すると述べましたが、このJVMが一種の「砂場(サンドボックス)」として機能し、プログラムがアクセスできるリソースや操作を厳しく制限します。

例えば、悪意のあるJavaプログラムがPC上の任意のファイルを削除しようとしても、JVMのセキュリティマネージャによって許可されない限りそれは実行できません。

アプレット(かつてブラウザ上で動いたJavaプログラム)の時代には、ブラウザ上のJavaは厳格なサンドボックス内でしか動けないようになっており、ユーザーファイルに勝手にアクセスできないよう設計されていました。

現在一般的なJavaアプリケーション開発においても、言語仕様としてバッファオーバーランのような脆弱性が起きにくい(配列アクセス時に範囲チェックが自動で行われる等)ですし、暗号化やセキュア通信のライブラリも標準で充実しています。

結果としてJavaはセキュアなシステムを構築しやすい言語と言えます。

もちろん、最終的なセキュリティはプログラマの実装に依存する部分も大きいですが、Javaという言語は構造上セキュリティホールを作りにくいガードレールが多く用意されているのです。

この安心感もまた、企業システムでJavaが選ばれる理由の一つでしょう。

高速な実行速度 – コンパイル言語として安定したパフォーマンス

「Javaは他の言語に比べて動作が遅い」と耳にしたことがあるかもしれません。

確かにJavaが登場した当初(1990年代後半)は、JVM上で動くという仕組み上、C/C++などネイティブコードを直接実行する言語より速度が劣る部分もありました。

しかし、その後の技術革新によりJavaの実行速度は大幅に向上し、現在では非常に高速です。

Javaはコンパイラ型言語です。

プログラム実行前に一度バイトコードにコンパイルし、それをJVMが実行します。

またJVM自体も近年はJIT(Just-In-Time)コンパイルという仕組みで、実行時にさらに最適化を施したネイティブコードに動的変換してから実行するため、長時間動かし続けるサーバーアプリケーションなどでは実行中にどんどん高速化されます。

要するに、Javaは初回起動時こそ多少のオーバーヘッドがありますが、一度走り始めればそのパフォーマンスはかなり高く、大規模データ処理や高負荷システムでも十分な実行性能を発揮します。

また、言語仕様上も厳密な型チェックが行われるため、実行時に余計な負荷がかかりません(対照的にPythonのようなインタプリタ型・動的型付け言語は実行時の型判定コストがあります)。

こうした点から、Javaは安定して速い動作が期待できる言語と言えるでしょう。

実際、金融系システムや大規模なオンラインサービスなどパフォーマンス重視の分野でもJavaが用いられてきた実績があります。

「高速=C/C++」というイメージを持つかもしれませんが、Javaも適切にチューニングすれば非常に高速に動作することが可能です。

Javaで何ができる?活用分野と開発事例

ここまでJavaの言語仕様上の特徴を見てきましたが、肝心なのは「Javaで何が作れるのか」という点でしょう。

Javaはその汎用性の高さから、本当に様々な分野で利用されています。

ここでは代表的なJavaの活用分野と具体的な開発事例を紹介します。

Javaを学ぶと自分が将来どんな開発に関われるのか、ぜひイメージを膨らませてみてください。

業務システム・Webアプリ開発

Javaと言えばまず企業の業務システム(基幹システム)開発で広く使われています。

銀行の勘定系システム、メーカーの在庫管理システム、自治体の住民情報システムなど、社会のインフラを支えるような大規模システムにJavaが採用されている例は非常に多いです。

これらは一社専用のクローズドなソフトウェアですが、Javaの信頼性・保守性・長期安定性を買って導入されています。

また、近年ではWebアプリケーションのサーバーサイドにもJavaがよく使われます。

例えば皆さんが日常使っているネットサービス(SNSやECサイト等)の裏側では、Javaで書かれたシステムがユーザーからのリクエストを処理しているかもしれません。

JavaはWebサーバー向けのフレームワーク(後述のSpring Frameworkなど)が充実しており、大規模トラフィックにも耐えうる堅牢なWebアプリ開発に適しています。

開発事例

日本の大手企業の社内システムの多くはJavaで動いていると言われます。

具体的な名前は外から見えませんが、例えば銀行のオンラインバンキングシステムや、航空会社の予約システムなど、安全かつ高性能が要求される分野でJavaが大活躍しています。

また、海外ではTwitterの一部サービスやLinkedInといった大規模WebサービスのバックエンドにJava(またはJava仮想マシン言語であるScala)が使われていた実績もあります。

スマートフォンアプリ(Android)

Androidアプリ開発とJavaは切っても切れない関係です。

Androidが登場した当初から、公式の開発言語としてJavaが採用されてきました。

Androidスマホ向けのアプリ(ネイティブアプリ)は、内部的にはAndroid用に最適化された仮想マシン(Dalvik/ART)上でJava(もしくはKotlin)で書かれたコードが動いています。

JavaでAndroidアプリを開発する場合、Googleが提供するAndroid SDK(開発キット)を利用して行います。

現在はKotlinという新しい言語がAndroidの主役になりつつありますが、Javaで書かれた既存のAndroidアプリ資産は莫大であり、今でもJava知識はAndroid開発において非常に重要です。

Javaに習熟していればAndroidアプリ開発への学習コストも低く済むでしょう。

開発事例

スマホ向けの有名アプリでも、少し前までは公式に「このアプリはJavaで書かれている」と明言されることが多々ありました。

例えば日本発の人気アプリ「メルカリ」や「楽天市場アプリ」なども、初期はJavaで開発されていたと言われています。

現在はKotlin移行が進んでいますが、Android開発者はJavaの知識必須である点は変わっていません。

デスクトップアプリケーション

JavaはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を備えたデスクトップアプリケーションの開発にも使われます。

WindowsやMac上で動くソフトウェアをJavaで作るイメージが湧かないかもしれませんが、JavaにはSwingやJavaFXといったGUIツールキットが用意されており、これらを使ってクロスプラットフォームなデスクトップアプリを構築可能です。

例えば社内業務で使う専用ツールや、プログラミング教育用のデスクトップアプリなどでJavaが選択される場合があります。

一度Javaで書けばWindowsでもMacでも同じように動くため、複数OS対応のクライアントアプリケーションを効率よく開発できるのがメリットです。

最近はWebアプリケーションに取って代わられた分野もありますが、オフラインで動作する管理ツールや分析ツールなどでは今なおJava製アプリが活躍しています。

開発事例

開発者向けの有名なJava製デスクトップアプリにEclipseというものがあります。

これはJava用の統合開発環境(IDE)で、自身もJavaで書かれており、プラグインによって機能拡張可能な大規模デスクトップアプリです。

このように、Java自身の開発ツールがJavaで作られている好例も存在します。

また、オープンソースのオフィスソフト「Apache OpenOffice/LibreOffice」の一部コンポーネントもJavaで実装されています。

組み込みシステム・IoTデバイス

家電製品や工業機械の内部で動くソフトウェア(ファームウェア)等の組み込みシステムの領域でも、実はJavaが使われることがあります。

伝統的に組み込み開発と言えばC言語が主流でしたが、近年ハードウェアの性能向上によりJavaのような高度な言語を組み込みに適用するケースが出てきました。

例えば、テレビやBlu-rayプレーヤーのような家電のUI部分をJavaで実装したり、自動販売機の制御用コンピュータにJavaが載っていたり、といった事例があります。

特にIoT(モノのインターネット)の分野では、ネットワーク通信やセキュリティの仕組みを一から作り込むのは大変なため、そうした機能が標準ライブラリで提供されるJavaはIoTデバイス開発の選択肢になり得ます。

組み込み向けにリソースを絞ったJava ME(Micro Edition)というプラットフォームも存在し、小型デバイス用にJavaを動かす環境が提供されています。

Javaが動く小型ボードコンピュータも開発されており、今後のIoT普及においてもJavaスキルが活かせる場面は増えていくでしょう。

開発事例

身近なところでは、Blu-rayディスクのメニュー画面は「BD-J」と呼ばれるJavaベースの技術で作られています。

Blu-rayプレーヤー内にJVM相当のものがあり、そこでJavaコードが実行されてメニュー制御が行われています。

また、以前流行した組み込みLinuxボード「Raspberry Pi」でJavaを動かしIoT機器を制御する、といったプロジェクトも数多く公開されています。

ゲーム開発

意外に思われるかもしれませんが、ゲーム開発にもJavaは使われています。

特にPC向けのインディーゲーム(同人ゲーム)ではJavaが採用されることもあり、有名なところでは「Minecraft(マインクラフト)」がJavaで作られたゲームの代表例です。

MinecraftはJava製ゲームとして世界的に大成功を収め、Javaの可能性を示しました。

Javaでゲームを作る場合、libGDXなどのゲームエンジン/フレームワークを使って開発することが多いです。

Javaはグラフィック描画や音声再生のライブラリも揃っており、2Dゲームはもちろん3Dゲームも制作可能です。

ただし、本格的な最先端ゲーム開発(ハイエンドな3Dゲームなど)の現場ではC++やC#(Unity)など他言語が主流のため、Javaの得意分野とは言えません。

しかし「Javaでもゲームは作れる」という事実は初心者にとってモチベーションになるでしょう。

また、Android向けのモバイルゲームは基本的にJava(またはKotlin)で開発されてきた歴史があります(近年はゲームエンジンUnityでC#を使う場合も多いですが)。

スマホゲームも広義にはJava活用例の一つです。

開発事例

先述のMinecraftはJavaで開発され、Javaの持つマルチプラットフォーム性を活かしてWindows/macOS/Linuxなどで同一コードが動作するようになっていました(※現在の最新バージョンではネイティブ移植版もありますが、Java版は今でも人気です)。

他にも、有志のゲーム開発コミュニティではJava製のRPGやシューティングゲームが公開されていたり、Android向けにJavaで作られたヒットゲームも存在します。


以上、Javaの主な活用分野を見てきました。

「汎用言語」と言われるだけあって、Javaは実に様々な世界で使われていることが分かります。

あなたがJavaをマスターすれば、ここに挙げたどの分野の開発にもチャレンジできる可能性が広がるわけです。

Javaを学ぶメリット(なぜプログラミングの入門におすすめ?)

これだけ幅広い用途で活躍するJavaですが、初心者が学習を始めるにあたってどんなメリットがあるのか気になりますよね。

ここではJavaを習得することで得られる利点を整理してみましょう。

プログラミング未経験からJava入門しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

需要が高くキャリアに直結 – 求人・案件数No.1クラスの言語

Javaを学ぶ最大のメリットは、エンジニアとしての需要が非常に高いことです。

IT業界の求人市場を見ると、Javaプログラマ・Javaエンジニアの求人は常に上位にランクインしています。

その理由は前述した通り、金融・製造・公共など様々な業界のシステム開発でJavaが採用されているからです。

特に日本では「Java=企業システムの定番言語」という図式が長年続いており、Javaスキルを持っているだけで就職・転職が有利と言われるほどです。

実際、未経験からエンジニアを目指すプログラミングスクールでもJava講座は人気があります。

案件数No.1とも称されるJavaは、それだけ習得すれば仕事に直結しやすい言語なのです。

また、Javaエンジニアは比較的大規模で安定したプロジェクトに従事することが多い傾向があります。

将来エンジニアとしてキャリアを積みたい方にとって、Javaを習得することは就職先や案件に困りにくく、長期的に活躍しやすいというメリットがあります。

汎用性と安定性 – どんな分野にも対応し長期間使えるスキル

前述のとおりJavaはウェブ、モバイル、デスクトップ、組み込みとあらゆる分野で使える汎用性を持っています。

ひとたびJava言語をマスターしておけば、異なるプラットフォーム間でもスキルを横展開しやすいのが利点です。

例えば最初はWebシステム開発のJavaエンジニアとしてキャリアを始め、その後Androidアプリ開発に転向する、といった柔軟なキャリアパスも選択可能です(実際、Javaが書ける人はAndroidもすぐ覚えられるケースが多いです)。

さらにJavaは1990年代から現在まで第一線で使われ続けている実績があり、今後も急になくなる心配が少ない言語です。

IT業界では新しい言語やフレームワークが次々登場しますが、Javaは既にインフラとして定着しており、将来にわたって長く役立つスキルとなるでしょう。

最新トレンドの言語を学ぶのも良いですが、まずJavaのような定番言語をしっかり身につけておくと安心感があります。

豊富なライブラリとコミュニティ – 情報量が多く学習サポートが充実

Javaを学ぶとき心強いのが、圧倒的に情報源が多いことです。

Javaは歴史が長く利用者が多いため、書籍・ウェブサイト・Q&Aフォーラムなどの情報が非常に充実しています。

エラーに遭遇してもネット検索すれば大抵似た問題にぶつかった人の解決策が見つかるでしょう。

また、世界中にJavaの開発コミュニティがあり、フレームワークやライブラリも膨大に存在します。

Web開発用のSpring Framework、データベースアクセスのMyBatis、GUI構築のJavaFX、並列処理のためのツールキット、単体テストフレームワークJUnitなど、目的別に使えるオープンソースライブラリが数え切れないほど公開されています。

これら既存ライブラリを活用できる点もJavaエンジニアの強みで、一から車輪の再発明をせずに済みます。

学習者にとっても公式チュートリアルや入門書が多数あり、コミュニティフォーラム(Stack OverflowやTeratailなど)で質問すれば経験者が回答をくれるでしょう。

このように情報の豊富さとコミュニティの厚さは、独学でプログラミングを学ぶ上で非常に大きな助けとなります。

初心者が最初に学ぶ言語としてJavaを選ぶのは、困ったときに頼れる情報源が多いというメリットがあるのです。

他の言語習得にも役立つ – 厳密な思考とOOPスキルは財産

Javaをしっかり学ぶことで、プログラミングの基礎体力が付くとも言われます。

Javaは文法が厳格(厳しい型チェックがある静的型付け言語)であり、またオブジェクト指向の考え方が深く染み込んだ言語です。

そのため、Javaで基本を学んでおけば、後々ほかのどんな言語を学ぶ際にも応用が利きます。

例えば、Javaで変数の型やメモリ管理の概念を理解していれば、C言語やC++に進んだときにも抵抗が少ないでしょう。

また、Javaのオブジェクト指向になじんでいれば、C#やPython、Rubyなど他のオブジェクト指向言語を使うときも共通する設計思想をすぐ理解できます。

実際、「Javaをやった後にPythonを学んだら文法が緩くて驚いたが、大枠は掴みやすかった」という声もあります。

さらに、Javaはプログラムの構造が明示的(ファイル分割やクラス定義がきっちりしている)なので、コードの整理術や設計力が自然と身につくというメリットも。

小規模スクリプト向きではないぶん、最初から「プログラムとはこう構造化するものだ」という感覚が鍛えられます。

要は、Javaで鍛えた厳密なプログラミング思考は、他言語を習得する際の土台として非常に有用なのです。

最初の一言語としてJavaに挑戦するのは決してハードルが高いだけではなく、今後のエンジニア人生において貴重な財産を得ることになるでしょう。

Javaの注意点・デメリット

良いことずくめに見えるJavaですが、もちろん欠点や注意すべき点もあります。

ここではJavaのデメリットや、学習する上で初心者がぶつかりがちな課題について触れておきます。

あらかじめ弱点を知って対策しておけば、挫折のリスクを減らすことができるでしょう。

学習難易度が高め – 文法が厳格で初心者は挫折しやすい?

Javaは「初心者には難しい」とよく言われます。

確かに、PythonやRubyなど他の高水準言語に比べると文法の記述量が多くルールも厳格です。

例えば「Hello World」を表示するだけでも、Javaではクラス定義やmainメソッドの記述が必要で、初心者は最初の一歩でつまずきがちです。

また、オブジェクト指向の概念(クラス・継承・ポリモーフィズムなど)を避けて通れないので、プログラミング自体が初めての人には理解しなければならない抽象概念が多いと感じるでしょう。

結果として、独学でJavaを始めた初心者が「難しくてよく分からない…」と途中で投げ出してしまうケースも少なくありません。

この学習コストの高さがJavaのデメリットですが、裏を返せば最初に高い山を越えてしまえばその後が楽とも言えます。

先に述べたようにJavaで基礎力が付けば他言語が容易になる面もあります。

したがって、Javaに挑戦する場合は腰を据えて基礎を体系的に学ぶ覚悟が大事です。

焦らず一つずつクリアしていけば必ず理解できるようになります。

環境構築の手間 – 開発に必要なツール準備が煩雑になりがち

Javaで開発を始める際には、事前準備(環境構築)がやや煩雑です。具体的にはJDK(Java開発キット)のインストールIDE(統合開発環境)のセットアップが必要で、初心者にはこの段階で迷いやすい点があります。

例えば、JDKのバージョン選択(8や11などのLTS版を選ぶのが一般的)、Oracle JDKとOpenJDKの違い、環境変数の設定など、初学者には聞き慣れない用語が次々登場します。

またIDEもEclipseやIntelliJ IDEAなど複数選択肢があり、インストール後のプロジェクト作成手順など習得すべきことがあります。

PythonやJavaScriptのようにインストール後すぐ一行のコードを書いて実行、という手軽さがJavaにはありません。

そのため、環境構築の時点で挫折する初心者もいるのが実情です。

ただし近年は、オールインワンのセットアップツール(例えばEclipseとJDKが一緒になったパッケージなど)やオンライン実行環境(ブラウザでJavaコードを実行できるサービス)も整ってきています。

最初は手軽な方法でJavaを動かしてみて、慣れたら正式な開発環境を構築するという段階を踏むとスムーズでしょう。

小規模開発にはオーバースペック – 簡単なスクリプトなら他言語が手軽

Javaは大規模開発に強い反面、ちょっとしたスクリプトを書くには向いていないという側面があります。

例えば「ファイルの内容を一括置換するツールを5分で作りたい」といった場合、PythonやShellスクリプトなら十数行で書けるところを、Javaで真面目に書くとクラスの作成から始めて…とどうしても冗長になりがちです。

また、Javaプログラムを動かすにはJVMの起動が必要なので、実行開始までのオーバーヘッド(初期コスト)も少々重いです。

コマンドラインユーティリティ的な用途では、軽量スクリプト言語の方が手軽で実行も速いケースが多々あります。

そのため、用途によってはJava以外の言語を選んだ方が効率的な場合もあります。

最近流行りのマイクロサービス(機能ごとに小さなサービスに分割する設計)では、サービス一つひとつは小規模なので開発生産性重視でPythonやGo言語が使われたりします。

Javaはどちらかと言えばモノリシックな大きなシステム向きであり、ちょっとしたツールやスクリプトを書くならば他の簡潔な言語に軍配が上がるでしょう。

とはいえ、Javaでもスクリプト的に素早く書けるフレームワーク(例:Spring Bootで簡易APIを素早く作成)や、速度面もJVMのチューニングでかなり改善されてきています。

ですから、Javaしか知らなくても工夫次第で多様な開発に対応可能ですが、頭の片隅に「Javaは本領を発揮するのは中〜大規模開発時」という認識は持っておきましょう。

以上がJavaの主なデメリットです。

ただ、これら弱点は適切な学習法やツールの活用で十分カバー可能です。

次章以降で環境構築の手順や学習のコツも解説しますので、「難しそう…」と尻込みせず引き続き読み進めてみてください。

まとめ – Java入門の次に目指すもの

最後に、本記事の内容を簡単に振り返りましょう。

  • Javaとは: 1990年代に生まれ、現在も人気の高い汎用プログラミング言語。プラットフォームに依存しないWORAの思想で設計され、オブジェクト指向言語として大規模システム開発に強みを持つ。JavaとJavaScriptは名前が似て非なるものなので注意。
  • Javaの特徴: JVMによる高い移植性、オブジェクト指向による再利用性、自動メモリ管理による安全性、サンドボックスモデルなどによるセキュリティ、そしてコンパイル言語ならではの安定した実行性能、といった長所がある。一方で文法が厳格で学習コストが高い、環境構築がやや面倒、小規模用途には冗長、といった短所もある。
  • Javaでできること: 業務システム・WebアプリからAndroidアプリ、デスクトップアプリ、組み込み/IoT、ゲームまで非常に幅広い分野で活用されている。特にエンタープライズ領域での利用実績が豊富で、エンジニア需要も高い。
  • メリット: Javaスキルは求人ニーズが大きくキャリアに直結しやすい。情報やライブラリが豊富で学びやすく、習得すれば他の言語にも応用しやすいという利点もある。
  • デメリット: 初心者には難解に映ること、環境準備や文法面でとっつきにくいことに注意。しかし適切に段階を踏めば克服可能なため、根気よく学習を継続することが重要。

これからJavaを学び始める方は、ぜひ本記事の内容を足がかりにして実際のコーディングに挑戦してみてください。

最初はエラーや理解不能なことに出会うかもしれませんが、それは成長のチャンスでもあります。

乗り越える度にプログラマとしてのスキルが確実に上がっていくでしょう。

Javaを習得することで開ける未来は広大です。

Webサービス開発者、モバイルアプリ開発者、企業のITエンジニア、さらにはビッグデータやAI基盤に関わるエンジニアなど、多彩な道が待っています。ぜひ焦らず楽しみながら、Java入門の一歩一歩を踏みしめてください。応援しています!

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